つげの櫛

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半世紀を迎えた自分へのプレゼント。
ジュエリーや貴金属みたいに、いかにもご褒美なキラキラしたものではなくて
密やかで、女性の楽しみみたいな、
ずっと使えて、毎日手に触れるちょっと贅沢なもの、
何かないかな、と探して決めたのが
京都十三やのつげの櫛。
四条寺町。
20代の頃4年も京都に住んでいて
よく歩く界隈だったのに素通りだった。

ふと、思い出したのが不思議なくらいだけれど
やっとそれを使える時を迎えたということだろうか。

時々、椿油に浸しながら使い続けると美しい飴色に変わっていく。

クリストフルのカトラリー然り、
磨いたり手をかけて時間を重ねて育てていく感じがとても好き。

私がまだ物ごころつかないぐらいに亡くなった祖母の遺言は
女性は髪を大切に、だったと母が時々言っていた。

祖母の事はほとんど覚えていないけれど、
唯一おぼろげな記憶は、祖父母の大きなベッド脇の
窓際でバナナを一緒に食べた事。
木枠の窓から柔らかい茜色の陽が差していた。

牡丹の花が彫られたつげの櫛。
どのくらいの歳月を重ねたら飴色になるだろう。

朝の身支度の時間がちょっと贅沢で小さな楽しみになった。